外観をおしゃれに見せる軒天デザイン|デザインのコツと注意点
軒天は普段あまり注目されない部分ですが、素材や色、デザインを工夫すると、家全体の印象を格上げできます。
しかし、
「おしゃれな軒天とは具体的にどんなデザイン?」
「軒天を木目にして自然素材を使いたいけど、メンテナンスが大変なのでは?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
今回は、軒天の役割や重要性を解説するとともに、おしゃれなデザインアイデアや素材選びのポイント、注意点まで詳しく紹介します。
こだわりを取り入れつつ、機能性も兼ね備えた理想の住まいを実現しましょう!
軒天とは?軒裏との違いと役割
見かけることが多い住宅の軒天ですが、建物のどの部分なのか、きちんと知っている方は少ないものです。
まずは軒天の基本的な知識をご紹介します。
軒天と軒裏の違い
軒天と軒裏は似ているようで実は違う部分です。
「軒裏」とは、建物の外壁から突き出した屋根の下面全体の部分を指します。
そして、「軒天」とは、軒裏の中でも外壁から見える部分のことをいいます。
つまり、玄関に向かって建物を見上げた時に目に入る面が軒天なのです。
軒天の役割
軒天は、住宅をおしゃれに見せるためだけにつくられているのではありません。 以下の6つの役割があります。
- 自然光の入り方を調整できる
- 室内のプライバシーを守る
- 外観を美しく整える
- 湿気や雨水から守る
- 強風の影響を抑える
- 防火性を高める
一つずつ詳しく解説します。
自然光の入り方を調整できる
軒天の出幅によって、室内に入る自然光の量をコントロールできます。
夏は直射日光を遮って室温の上昇を抑え、冬は低い角度からの日差しを取り入れて暖かさを確保できるのです。
立地条件に合わせて採光のバランスを考えて設計することで、快適な室内環境をつくれます。
室内のプライバシーを守りやすくなる
窓から中の様子が丸見えになってしまうことがありますが、軒天があると、屋根の裏側が目隠しとなり、室内のプライバシーを確保しやすくなります。
特に開放的な間取りや大きな窓を採用する場合、軒天のデザインや配置を工夫することで、外からの視線を適度に遮ることが可能です。
外観を美しく整える
屋根の裏側がむき出しのままだと、釘や梁が見えて雑然とした印象になってしまいます。
ですが軒天を設置することで、デザイン性が向上し、洗練された外観を演出することが可能です。
さらに、素材や色を工夫することで、住宅全体に統一感が生まれ、おしゃれな外観に仕上げるのに効果的です。
湿気や雨水などから外壁を保護する
外壁から突き出た屋根の裏側は、雨風にさらされやすい部分です。
適切な軒天材を使うことで、湿気がこもるのを防ぎ、屋根や柱の劣化を遅らせることが可能です。
またカビや腐食のリスクを減らし、長く快適な住まいを維持します。
強風の影響を抑える
台風や強風が吹き込むと、屋根の内部に風圧がかかり、建物の耐久性が低下することがあります。
軒天があれば、風の侵入を防ぎ、住宅の安定性を保つことが可能です。
防火性を高める
屋根の裏側に設置される軒天は、万が一の火災時に、炎が屋根裏へ燃え広がるのを防ぐ効果が期待できます。
特に延焼のリスクが高い隣家との距離が近い住宅の場合、防火性能の高い素材を選ぶことで、安全性をさらに向上させることが可能です。
軒天に使われる素材
軒天で使用する素材は、見た目の美しさだけでなく、耐久性やメンテナンス性も考慮する必要があります。
主な素材には、それぞれ特徴があり、建物の雰囲気や地域の気候に合わせて選ぶことがポイントです。
ケイカル板
ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)は、防火性に優れ、施工性の良さから広く使用されている素材です。
塗装によって様々な表情を出せるため、外壁との調和を取りやすいのが特徴です。
比較的安価で軽量なため、コストパフォーマンスを重視する方に選ばれています。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、亜鉛とアルミニウムの合金でコーティングされた鋼板です。
さびにくく耐久性が高いため、メンテナンスの手間を減らしたい方におすすめです。
シンプルでモダンな外観を好む方に選ばれることが多く、金属特有の質感が洗練された印象をもたらします。
木材・木目調素材
天然木や木目調の素材は、住まいにあたたかみと自然な表情を与えます。
天然木は経年変化による味わいが魅力ですが、定期的なメンテナンスが必要です。
なお、ケイカル板など他の素材にも木目調が多く、天然木の風合いを持ちながらメンテナンス性を向上させたタイプもあるため、人気があります。
おしゃれな軒天に仕上げるコツ
軒天のデザインは、住まいの印象を左右します。外壁や屋根と調和しつつ、住宅のオリジナリティを出すことが可能です。
外観デザインとのバランスを考える
軒天は建物全体の一部分であり、外観デザイン全体との調和がポイントです。
外壁が複雑なデザインや濃い色の場合は、軒天はシンプルにし、逆に外壁がシンプルなら、軒天で個性を出すやり方もおすすめです。
組み合わせのパターンの一例ご紹介します。
- 白い外壁の住宅:木目調の軒天があたたかみをプラス
- モダンなグレーの外壁:同系色の軒天を合わせると、統一感のある洗練された印象をプラス
- 格子状デザインを採用する際には、和モダンでかっこよさをプラス
さらに建物の印象は、外壁と軒天のコントラストの強さによって、大きく変わります。
強いコントラストの場合は個性的で印象的に、弱いコントラスト場合は上品で落ち着いた雰囲気に仕上がります。
軒天の模様・方向性で表情を変える
軒天の模様や板の方向によって、建物の表情は大きく変わります。
特に木目調の軒天を選ぶ場合、木目の向き・模様は特に重要なポイントです。
- 横方向の木目:建物に安定感と広がりを与える。玄関アプローチなど、人を迎え入れる空間に適しており、落ち着いた印象を演出する
- 縦方向の木目:天井が高く見える効果がある。狭い玄関ポーチでも開放感を出したいとき、モダンでスタイリッシュな印象に向いている
- 無地の軒天:シンプルでありながら洗練された印象を与える。外壁や建具などの他の要素を引き立てたい場合に適している
照明計画で夜の表情を演出する
軒天の照明計画は、夜の住まいの表情を決める重要な要素です。適切な照明があることで、安全性を確保しながら美しい外観を演出できます。
一般的に選ばれることが多いのは、ダウンライトです。玄関周りに設置すると、夜間の出入りを安全にするとともに、建物の顔となる部分を印象付けます。
光による印象の違いは以下の通りです。
- 暖色系の光:あたかみのある雰囲気
- 白色や青白い光:モダンでシャープな印象
また間接照明の場合は、軒天に沿って光を広げることで、柔らかな雰囲気を演出することが可能です。
特に木目調の軒天との相性が良く、木のあたたかみを引き立てます。
スポットライトは、外壁の特定の部分や植栽を照らすことで、立体感のある夜間の外観を演出します。
軒天からさりげなく光が漏れると、洗練された印象を与えられるため、おすすめです。
外構との調和で統一感を出す
軒天のデザインは、外構とのバランスも考慮することで、より一体感のある住宅になります。
玄関アプローチの床材と軒天の素材や色を関連付けることで、統一感が生まれます。
例えば、
- タイル調の床材のアプローチの場合:無地の軒天
- 自然石の床材のアプローチの場合:木目調の軒天
また植栽計画も軒天デザインと密接に関係します。軒下に配置する植物の種類によって、軒天の見え方が変わるからです。
門柱やフェンスなど外構の他の部分とも素材や色を統一することで、敷地全体としての調和が生まれます。
季節の変化を取り入れるデザイン
軒天のデザインは、季節の変化とともに住宅の表情を豊かにすることが可能です。
例えば深い軒がある場合、夏は強い日差しを遮り、冬は太陽の光を室内に取り入れる役割を果たします。
さらに季節ごとの変化を考慮したデザインは、日本の気候に合った快適な住宅をを実現させられます。
また軒下にシーズナルな装飾を楽しむスペースを設けることも、軒天デザインの楽しみ方のひとつです。
クリスマスリースを飾ったり、季節の植物を置いたりするスペースを確保しておくと、年間を通じて住まいの表情が変わります。
軒天のデザインは、建物の外観を決める重要な要素であると同時に、暮らしを豊かにする機能も備えています。
住宅スタイルやご家族の暮らし方に合わせた軒天を選ぶことがポイントです。
軒天のデザイン選びの注意点
軒天のデザインを決めるとき、素材や形状だけでなく「色選び」がとても重要です。
「思っていた色と違った」ということも一般的に少なくないようです。
理想のおしゃれな外観をつくるには、軒天単体で決めるのではなく、住宅全体との調和を意識することがポイントです。
これからご紹介する順番で考えていくと、スムーズに軒天のデザインを決められます。
外壁・屋根とのコーディネートを意識する
軒天の色は、外壁や屋根とのバランスが重要です。例えば、以下のコーディネートがおすすめです。
- 白系の外壁:ナチュラルな木目調やライトグレー(馴染みやすい)
- ダークカラーの外壁:ブラックやダークブラウン(落ち着いた印象)
外観全体の統一感を考えながら、バランスよく選びましょう。
屋根の影になるためワントーン明るい色を選ぶ
軒天は屋根の影になるため、思ったよりも暗く見えることが多いです。
理想のイメージよりもワントーン明るい色を選ぶと、仕上がりがちょうどよくなります。
特に、木目調やベージュ系の色は、少し明るめを選ぶことで圧迫感を抑え、軽やかな印象を演出できます。
時間帯による色の変化を考慮する
軒天の色は、光の当たり方によって見え方が変わります。
特に、朝や夕方の光では暖色系が強調され、日中の強い光ではクールな印象になることがあります。
屋根の影でどのように見えるかを確認するために、時間帯を変えて色見本をチェックすることをおすすめします。
色を選ぶタイミングは外壁と屋根が決まってから
軒天の色は、外壁や屋根の色が決まった後に選ぶのが理想的です。
先に軒天の色を決めてしまうと、全体のバランスが取りにくくなることがあります。
まずは外壁と屋根のカラーを確定させ、軒天の色を検討すると、統一感のある仕上がりになります。
汚れにくい色を選ぶ
軒天は風雨やホコリの影響を受けやすいため、汚れが目立ちにくい色を選ぶと美観を保ちやすくなります。
特に、白や淡い色は汚れが目立ちやすいため、ベージュやグレー、木目調などが人気です。
また、防汚性能のある塗料を使用すると、メンテナンスの負担を軽減できます。
素材との相性を考える
軒天に使用する素材によって、選べる塗料や仕上がりの質感が変わります。
例えば、木材を使用する場合は木の風合いを生かせるクリア塗装やオイル仕上げが適していますが、塗料の種類が屋根や外壁と異なることがあるため注意が必要です。
塗り替えの際のメンテナンス性も考慮しながら、素材と塗料の相性を確認しましょう。
地域の特性に合った機能性をチェックする
地域の気候や環境によって、適した軒天の色や素材は異なります。
例えば、湿気の多い地域では防カビ・防藻機能のある塗料を選ぶと、長期間きれいな状態を保ちやすくなります。
また、強い日差しが当たる立地や地域では、紫外線に強い色や耐候性の高い素材を選ぶことで、色あせを防ぐことができます。
立地や地域の気候に適した機能を持つ軒天を選ぶことが、長く快適に過ごせる住まいづくりにつながるのです。
おしゃれな軒天で理想の住まいを仕上げよう
軒天は住宅の外観デザインを引き立てるだけでなく、快適性や耐久性にも関わる重要な要素です。
素材や色を工夫すれば、おしゃれな印象を与えつつ機能性も高められます。
外壁や屋根とのバランスを考えながら、デザイン性と実用性を両立させることで、理想の住まいをより魅力的なものにできます。
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